和音の響をよくするためにTure temperament Fretと云うスウェーデンで開発された特許取得のものが販売され、加工された指板と鋳造されたフレットを海外から取寄せしなければならないために現在の日本では価格が高く、そしてフレットの取付け方法は接着剤のみとなっていますので、フレット交換時には指板毎交換することが一般的に知られています。
ただしTure temperamentはチューニング方法も通常の方法とは異なりますのでご注意下さい。
また日本でも特許を取得しているためライセンスの影響でTure temperamentのロゴが入るのも難点です。
そこで当工房ではTrue temperament Fretとは異なる方法でtemperment Fretを製作してみました。
ちなみにこれらの方法は19世紀頃からTemperament Fretを用いたギターは製造販売されていますが、近年における機械やPCによる計算方法により従来製品よりも精密に加工されています。
当工房では5種類のTemperament Fretから選択出来ます。
5種類の違いはゼロ・ビートの違いでゼロ・ビートのうなり(歪み)の周波数の違いにより綺麗な音色や音質等を含んだ音を出すことが可能となります。
一番歪みが少ないのがThidel Formula1新改、Thidel Formula1改はThidel Formula1新改とほぼ同等くらい、Thidel
Formula1とWerckmeisterVとWerckmeisterVはThidel Formula1新改と比べると組合わせたそれぞれの音律のセント数は異なりますが0.2セントから1セント前後の違いしかありません。
ただし音質や音色等はそれぞれ異なります。
WerckmeisterVとKirnergerVの音律はThidel Formula1、Thidel Formula1i改、Thidel Formula1新改と同じように不均等12平均律となりますので音色や音質等も良くお勧めですが、Thidel
Formula1よりも極僅かにだけうねりが含まれいます。ただしギター用として使用出来るレベルです。
なお5種類の音質の共通は#,♭の調が少ない場合はミーントーンのような響きで和音が良く、逆に#,♭の調が多い場合はピタゴラスなような旋律になりやすい傾向にあります。
下記の図はThidel Formula1(上)とThidel Formula1改(下)です。スケールサイズ、ナットやブリッジの弦ピッチ位置等によりフレットの曲がりやナットの補正位置は異なります。
下記は638mmのWerckmeisterVのTemperament指板の図面ですが、スケールサイズ、ナットやブリッジの弦ピッチ位置等によりフレットの曲がりやナットの補正位置は異なります。
下記は638mmのKirnergerVのTemperament指板の図面ですが、スケールサイズ、ナットやブリッジの弦ピッチ位置等によりフレットの曲がりやナットの補正位置は異なります。
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D.W.GはThidel Formula1、Thidel Formula1改、Thidel Formula1新改と同じように不均等12平均律改良した音律となりますので音色や音質等も良くお勧めです。
極微小にうねりが含まれますが、理論上においてはピッチ安定度は良いのですが、音質や音色等はThidel Formula1やThidel Formula1改等とは異なります。
1:一般的に使用されるDドロップチューニングや半音下げチューニング等は問題はありませんが、弦径が太く、そして極度なダウンチューニングには対応していませんのでご注意下さい。
2:全てのチューニングを使用して調べてはいませんので一部のチューニングには対応はしていなかもしれませんのでご注意下さい。
3:通常のギターと同じようにギターの傾け方により音程は狂いますのでご注意下さい。
4:記載されている音質は当工房個人の感想でありますので個人個人によって感じ方はそれぞれ異なりますのでご注意下さい。
5:各Temperament指板の全ての転調を調べていませんので、万が一演奏中による転調や違和感のある音質が発生した場合の保証は一切ありませんのでご注意下さい。
Temperment fretを製作をする場合には、まず初めにお客様が依頼した円筒指板または円錐指板の平均値のフレット溝切りと円筒指板または円錐指板のTemperment
fretのフレット溝切りを製作します。
これらは実際に使用する指板専用の木材ではなく実際に使用する指板が割れたり、欠けたりさせないために予め製作させることで実際に使用する指板のフレット溝に金属製のフレットをフィットさせることが目的で製作いたします。
これらの指板を製作させることで出切るだけ実際の指板のフレット溝に金属製のフレットを入れた時によるフレット浮きや歪み等が発生させないにするための処置です。
そして円筒指板または円錐指板の平均値のフレット溝切りした所にフレットを打ち込み、そして金属製のフレットを切ります。
金属製のフレットをTemperament fretの形状に合わせるように徐々に曲げていきます。
Temperament fret溝の形状とピッタリ合うかを確認するためにTemperament fret溝にフレットを入れます。
この時フレットが極僅かに伸びてスムーズに入る場合は成功となります。
1本毎に金属製のフレットを確認しながら取付取り外しの工程を行い、そして金属製のフレットを取外す時に向きを間違えないように油性ペンで印をつけてから、金属製のフレットを1本毎取外します。
取外した金属製のフレットをお客様の指板にフレットを打ち込んでいきますのでかなりの手間が発生します。
Temperament Fretを製作する場合には、かなりの手間が発生するためオーダーメードギター金額に付きましてはTemperament指板加工費とTemperament
Fret加工費等を含めて5万円〜(税別)とさせていただき難易度によって金額は異なりますのでご注意下さい。
現在の所オーダーギターのみに適用し、モニターギターやセミオーダーギターでも加工することは可能となりますがTemperament指板の交換リペア等は現在は受付けていませんのでご注意下さい。
Temperament Fretをフレット溝にスムーズに入れられるようにするため現在CNC Guitar Fret wire benderを製作中です。
このCNC Guitar Fret wire benderはTemperament指板のフレット溝にピッタリと入れられるようにCNC Guitar
Fret wire benderで金属製のフレットを入れられるようにした機械となります。
CNC Guitar Fret wire benderが完成していないので当工房の予想となりますが、このCNC Guitar Fret wire
benderが一台あればステンレスフレットからニッケルシルバー等のほとんどのフレットワイヤーを曲げることが可能になるかと予測しています。
現在製作中となりますが、完成したら通常の12平均律フレットよりも若干高くなりますが、現在の金額よりも少しだけですがお安くなる可能性があります。
当工房で製作するオーダーギターの指板Rは円筒指板または円錐指板でも製作をすることは可能ですが円筒指板では254R、305R、355R、381R、406.8Rまでの指板Rとさせていただきます。
円錐指板では、ナット側は254Rからとさせていただき、指板エンド側はブリッジRにより異なりますので400R以降も可能となります。
指板Rが254Rよりもきつい(178Rや184R等)とフレットは略正確にぐにゃぐにゃしたフレットに曲げることは出来ないのが難点(特にステンレスフレット)となります。
フレットをぐにゃぐにゃに曲げない場合は、弦毎にフレットを短く切って行く方法もありますが、チョーキング時にフレットが接触して演奏し難いためお勧めいたしません。
ギターの指板にはローズやエボニー等があります。
しかしながらTemperament Fretはぐにゃぐにゃ曲げたフレットなのでエボニー、ブラックウッド等のマメ科の密度が濃い指板は入れ難くなりますので、フレット浮きが発生する恐れがあるため硬質な指板の場合はお断りする場合があります。
現在エボニー等の硬質な指板にフレットが入れられるかを研究していますのでもうしばらくお待ち下さい。
なおローズ、メイプル、ココボロ等の指板材にはスムーズに入れることが可能となります。
通常ギタースケールは648mm、638mm、635mm、628mmまでとさせていただきます。
628mm以下のスケールは細かいフレット調整が非常に難しい為628mmまでとさせていただきます。
660mm、666mm、673mmのエクストラロングギタースケールの場合はダウンチューニングを想定しており、Temperament Fretは極度なダウンチューニングと弦径の太い弦を併用した場合による演奏には非対応となっております。
ただしダウンチューニングを使用しない場合に限りThidel Formula1、Thidel Formula1改、Thidel Formula1新改の660mm、666mm、673mmのエクストラロングギタースケールのみは製作可能となっています。
その他のスケールについてはメールにてお問い合わせとなります。
Temperament fretの628mm、635mm、638mm、648mmスケールは出来るだけ正確にフレットを曲げる必要があるため下記の指板幅のみとさせていただきます。
下記の幅はスケールの基本軸となるためその他のナット幅、エンド幅も可能となります。
ただし通常のフレット打ち込みとは異なるため下記記載以外のナット幅、エンド幅の場合は別途ジグを製作する必要があるため別途料金が発生しますのでご注意下さい。
6弦のナット幅42mm(7mmピッチ)ーエンド幅56mm・24Fまで
6弦のナット幅43mm(7.2mmピッチ)ーエンド幅57mm・24Fまで
6弦のナット幅43mmまたは44mm(7.4mmピッチ)mmーエンド幅58mm・24Fまで
のみとさせていただきます。
注意事項
ネックバインディングにするとニブを切り落とすためになるためフレットが変形する場合がありますのでネックバインディングによるTemperment
fretは出来ません。
24F以降の製作も可能ですが24F以降のフレット曲げは細かく複雑となるため24Fまでとさせていただきます。
また628mm、635mm、638mmギタースケールの24F以降のフレットについては通常のフレットと同様に直線状でのフレット打ち込みとさせていただきます。
ただしフレット数は変更することは出来ませんが、ナット幅、エンド幅についてはCnc Guitar Fret bending machineが出来上がり次第無くす予定となります。
Temperament指板は通常24Fまでですが、24F以降のフレット打込は12平均律のみ可能となります。
Thidel Formula1、Thidel Formula1改、Thidel Formula1新改は648mmスケールでは27Fまで(それ以外の628mm、635mm、638mmスケールは24Fまで)。
Thidel Formula1、Thidel Formula1改、Thidel Formula1新改の660mm、666mm、673mmのエクストラロングギタースケールは29Fまで可能となります。
通常はTemperament Fretの指板幅に記載の指板幅での製作となりますが、24F以降の648mmスケール、660mm、666mmスケール、678mmスケールの指板幅はオリジナルのフレット幅となります。
この場合はそれぞれに応じたジグを製作する必要があるため別途料金が発生いたしますのでご注意下さい。
スケールが648mmの場合のフレット幅は2.9mmまでのニッケルシルバーフレットは可能です。
スケールが638mm、635mmの場合のフレット幅は2.7mmまでのニッケルシルバーフレットは可能です。
スケールが628mmの場合はフレット幅は2.4mmまでのニッケルシルバーフレットは可能です。
上記のフレットは一般的に流通しているニッケルシルバーフレットのみとなり、比較的柔らかい真鍮フレットでも可能となります。
またステンレスフレットの場合は曲がり難くかなり力が要りますので2.4mm幅までとさせていただきます。
またステンレスフレットを選択した場合はニッケルシルバーフレットと比べて高額となりますのでご注意下さい。
注意事項
ステンレスフレットを使用する場合は2.4mm幅のステンレスフレットまでとさせていただきます。
2.4mm幅までのステンレスフレットまではかろうじで曲がりますが、2.7mm幅、2.9mm幅のステンレスフレットは正確に曲がりません。
6弦の弦径は0.009-0.042を基本とし、0.008-0.038、0.010-0.046までが無難です。
True Temperament
factoryのTemperament指板の12Fまたは24Fはフレットがぐにゃぐにゃに曲がってお客様に提供されているためSonic Tuner
ST-300等を購入する必要があったり、または別途インターネットからソフトウェアをインストールする必要があります。
当工房が提供するTemperament Fretの12Fまたは24Fは直線状となっていますので通常のギターチューナーのみで調律をし、ユニゾンチューニングでもう一度調律をすることで音程が安定しやすくなります。
ただしこの場合は補正ナットとの組み合わることが前提となります。
チューナーは1セント単位のチューナーが基本となり、より精度を高める場合は0.1セントのチューナーが必要となります。
0.02セントチューニングメーターでの使用は可能ですが、補正ナットをせり出す必要があるため1セント単位と0.1セントチューナーでクロマチックモードを使用出来るチューナーが必要となります。
Temperament Fretを施した演奏ではチョーキング、タッピング、コード等も可能となり、当工房個人の感想ですが様々なコードを演奏すると響きがよいと感じます。
また一般的なギターとは少し異なりますので慣れが必要となります。
ギターブリッジのピッチは主に10.5mm、10.8mm、11mm、11.2mm、11.3mm等があります。
ナットの弦ピッチ間は7mm、7.2mm、7.4mm等があります。
True Temperament factoryの特許の関係でTrue Temperament Fretと同じ形状にすることは出来ません。
当工房のTemperament Fretはギターブリッジの弦ピッチとナットの弦ピッチとが交差する箇所に各フレットポジションの位置となり、このフレットのフレットポジションは点と点で繋ぎ連続したカーブとなっています。
万が一お客様が使用しているギターブリッジを変更する場合においてギターブリッジのピッチが異なる商品を使用する場合は音程は合わなくなる可能性がありますのでご注意下さい。
またお客様自身または各工房でナットを交換する場合はギターチェック一覧表に記載のナット弦間ピッチと同じものに交換して下さい。ナットの弦間ピッチが少しでも異なった場合は音程は狂いますのでご注意下さい。
Temperament Fretのナットは通常と同じナット材となりナット溝は約1mm近く1Fよりに短くなっています。
各フレットポジションの音程を重視する場合は補正ナットとの同時使用することでより各フレットポジションの音程がかなり安定します。
ナット材を補正する場合は基本的には1F側にナットをせり出す必要がありますが、ギタースケールが短い場合は1F側にせり出す長さは長くなる傾向にあります。
ただし個人毎に異なる指圧やギターを弾いた時の癖等により補正ナットの位置は極微小に異なります。
ナットを補正する場合はギターチューナーが必要で、一度オクターブチューニング後に補正ナットで補正をすることでより音程を安定させます。
フロイドローズ、ケーラーの付属のナットを使用した場合は弦をロックするため音程の狂いやチューニングの狂いが発生する可能性が大きくなりますのでナットを使用する場合は補正ナットを使用することをお勧めいたします。
※12平均律、不均等12平均律でもピッタリと各フレットポジションの音程は合いませんが、各フレットポジションはかなり近い音程まで合うことが出来ます。
フレット交換は通常のフレットと同じようにフレットを交換することが可能となります。
指板の厚みは6mmくらいとなっており、フレット溝は頂点(中心部)より約4.5mm−5mmの深溝で掘っていますので、指板Rのカーブがきつい場合は指板すり合わせ時による調整で指板が薄くなる傾向となりますので指板交換も早くなりますのでご注意下さい。
注意事項
一般的なギターの指板をTemperament Fretにすることは出来ません。
この場合は指板をTemperament Fret専用の指板に交換する必要があります。
なおTemperament Fretにする場合はギターを新品で購入する方が遥かに安いのでそちらをお勧めいたします。
補正ナットが含まれる場合はブリッジサドルがピックアップ側に寄るためブリッジは各弦毎に独立したブリッジサドルではないと音程の狂いは発生いたします。
またテレキャスターブリッジの3WAY補正サドルの使用は出来ませんのでご注意下さい。
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