1:お客様が不注意で付けた塗装面の欠けや割れまたは木材への痕跡の修理は完全に元の状態に戻すことは出来ません。
2:塗装面の欠けや割れはタッチアップという手法がありますが、シースルー塗装や特殊塗装はタッチアップ塗装をすると染みみたいな滲んだ塗装跡に残ってしまうことがあります。
3:木材への傷や痕跡は木材を削り、塗装をすれば元の状態へと戻すことは可能ですが、特にネックシェイプの厚みや形状を崩してしまうと弾き難くなったり、トラスロッド調整中に木材が割れたりしますのでお勧めは出来ません。
4:ボディ本体への場合は、木工用パテを深い傷に埋めてサンドペーパーを用いて滑らかに修正をいたしますが、全ての塗装を削り、パテの跡を残さないように通常はエナメル塗料等で木目を消す塗装が行なうのが一般です。
またシースルー塗装にする場合は木目を描くことになるので高額な金額となりますので注意が必要です。
お客様からお預かりしたギターの修理に伴う傷はどうしても付いてしまうこともあります。
例1:指板のフレット溝に金属製のフレットの一部が埋め込まれていますが、この金属性のフレットを取外す時に指板のフレット溝周辺の指板の欠けが必ず発生し、さらに指板やネックグリップに塗装がされている場合は、フレットサイドの塗装された箇所も同時に剥がれます。
この欠けた部分を元の状態に戻していきますが、どうしても塗装跡やフレット溝周辺の欠け等が残った状態になることがある場合もあります。
また近年ではフレット溝の中に接着剤を注入してフレット浮を抑える方法もありますが接着剤を用いてフレットを固定している場合には、指板交換のみとなります。
例2:ネックポケットからネックを取外す時に力を入れずに取外した場合でも製造段階でのネックポケット周辺の塗装処理があまいとネックポケット周辺の塗装面が欠けたり、割れたりいたします。
海外製だと例えばハンドメイド製品のTメーカーさんが多い印象です。
例3:牛骨ナットやプラスチックナットからローラーナット、ケーラーナット、フロイドローズ専用ナットに交換する場合は、指板のナット溝を削りだす工程があります。
この時にナット溝底面はフラットに加工する必要やブリッジよりにナット溝を削りだす必要があるためナット溝周辺の塗装面または指板面の割れや欠けあるいは指板材が薄い為に発生する金属製のトラスロッドの損傷等が発生する可能性があります。
例4:ケーラーナットの取付位置はヘッドに角度がある場合には問題が発生し難いナット材ではありますが、ヘッドに角度が無いストラトタイプ等のヘッドはアーミングやチューニングが安定し難くなります。
この場合ナットの位置はヘッド側にスペースがある場合に限りケーラーナットをヘッドに取付けることで若干安定はしますが意匠的(見た目)に良くないのでお勧めいたしません。
またフロイドローズ専用のナットでは254R等のフロイドローズナットの場合は、お客様からの要望によりギリギリまで弦高を下げる依頼があった場合は指板のナット溝を多く削ることになります。
ナット溝を多く削るということは指板を接着している表面も削ることになる場合があります。
ただし各フレットポジションの音程が安定する傾向にありますが、指板交換する場合には指板交換は出来なくなりネック交換のみとなります。
上記の数例に示すようにギター修理には必ずリスクがありますので、お客様は必ずギター修理にはリスクが伴うことを理解した上でギター修理の申込をして下さい。
ギター本体の依頼書に弦高設定を高め設定または低め設定とお客様から依頼されますが、弦高設定は弦とフレットとの距離が広がるほど弦の屈折率が大きくなることで音程が狂いやすくなりますので、当工房でナット調整またはナット交換の修理を依頼される場合には、弦高設定をギリギリまで低めに設定(一部除く)いたします。
ただし円錐指板、円筒指板またはネックの状態によって弦高設定は異なります。
ネックの状態がよく円錐指板での弦高はギリギリの弦高設定可能です。
あまりにもネック本体の反り、ネジレ等が強い場合には、当工房では修理いたしません。
ネックヒーターを使用すると一時的に元のネック状態に戻ることはありますが、気候変動の激しい日本では経年変化と共に元の状態へと戻ってしまうことが多いので、この場合原則的にネック交換への交換にした方が無難となります。
そのため当工房ではネックヒーターによる修正はお勧めいたしません。
お客様の金銭に余裕があるならば燻煙木材乾燥によるネック交換と錆び難いβチタンの両利き用トラスロッドをお勧めいたします。
当工房ではセットネックギターとスルーネックギターのネック交換修理はあまりにもリスクが大きので修理はしておりません。
セットネックギターの場合ボディとネックは接着剤を用いて接着しているので、大量の蒸気を使用して取外します。
大量の蒸気を使用して徐々にネックを取外しますが、ネックを取外した時に木材が剥がれネックポケットまたはネックヒールの一部がかけることがあり、さらに塗装にも大きなダメージを受けるためあまりお勧めいたしません。
セットネックのネックポケットの底面には角度が付いている商品もあり、これらを修理する場合は大変な労力と時間が発生し修理金額も高額となり、ネック交換をするので音も以前とは異なる場合もありますので、新規でギターを注文する金額とほぼ同じなのでお勧めいたしません。
スルーネックギターのネック交換を行なったことが少ないのですが、出来ないこともありません。
ただしウイング材の型を取ったり、塗装を剥がしたり等の大掛かりな作業が発生します。
一番多い作業としてはトラスロッド交換や指板交換となりますが、これらも高額作業となり音も以前とは異なる場合もあります。
最後に
ギターの材料は木材でネックは消耗品と当工房では捉えていますが、修理するリスクとしては蒸気を使用したり、木材の剥がれ、木材の割れ、木材の欠け、塗装割れ、欠け、ネックポケットの反り(稀にある)等のダメージが大きいと全て一から作り直す覚悟が必要となります。
お客様が保有しているギターにリスクがあることを覚悟した場合のみ当工房では修理いたします。
ヘッド割れやヘッド折れに伴うインレイ交換は可能ですが、あまりにもすじ堀がされている複雑なインレイ修理は出来ません。例えばギターに接着されていたインレイをドレメルと云われる機械でインレイを削った後、略同じサイズで製作したインレイ材を取付ける時にインレイザクリを少し大きく削ることになるため、ヘッドや指板に着色がされていないメイプル材やマホガニー材等ではインレイ箇所が目立つためお勧めできません。
また指板に接着されているインレイ材はよほどのことがない限りインレイを入れたりすることは致しません。
インレイ材を増やすと音質や音色等が硬質音になり易く、そして日本の気候において指板インレイの凹凸が頻繁に起きることもありますので弾き難い原因となる可能性もありますのであまりお勧めいたしません。
お客様が保有しているギターにリスクがあることを覚悟した場合のみ当工房では修理いたします。
ポット穴やスイッチ等を増設することも可能です。
しかしながらボディ材が薄い、アーチトップのボディ、ホローボディ等に加工が出来ない場合があります。
さらにルーターやトリマー等を用いて増設をいたしますが増設する時の加工において塗装面の欠け、木材の欠けや割れ等のリスクもあります。
お客様が保有しているギターにリスクがあることを覚悟した場合のみ当工房では修理いたします。
指板を交換する場合、蒸気と熱とスクレーパーで指板を取外すことになります。
この場合で生じるリスクとしては、蒸気と熱でネック本体から指板を取外しますが、スクレーパーで取外す時にトラスロッドが埋まっている表面側の木材のめくれが発生する可能性があります。
また通常は木工用ボンドでネック本体と指板材を接着固定させますが、一部のメーカーではエポキシ樹脂を用いて指板交換を接着させているメーカーもあります。
この場合はフレットを取外し大型のベルトサンダーで指板材を取外すことになりますが、この場合のリスクとしては一般的な作業方法と異なるため料金が高くなります。
シースルー塗装、グラフィック塗装、キャンディ塗装等のタッチアップはムラが発生し目立ってしまうのでタッチアップ塗装は出来ません。
ボディ表面、側面、裏面の塗膜剥がしは、ノミやサンドペーパーを用いて塗装を剥がします。
ボディのコントロールキャビティやピックアップの塗装剥がしは、サンディングロールや専用のビットで剥がします。
しかしながら塗装の剥がしやコントロールキャビティ等の剥がしにおいて木材の欠け、割れ等が発生することがあります。
角度付きのヘッドや角度なしヘッド折れは木材の割れ方、折れ方により修理が可能な場合と修理が不可能な場合があります。
木材の木口面の欠けは接着剤を用いても接着し難く、接着剤で木材が接着しても強度不足が発生するためもう一度同じ状態へと戻ってしまうこともありますので修理は不可能となります。
ヘッドのひび割れの場合は演奏中に徐々に振動で広がることもありますので、近くのリペア店やご自身でも修理が可能なので早急に修理して下さい。
強度の高いストラトタイプヘッドのようなヘッド角度無しタイプでもヘッド割れは発生しますが、縦割れしているヘッドはネック交換となる場合が多いのでご注意下さい。
当工房では燻煙木材加工も行なっておりますが、ギターのヘッド折れや欠け等を修理されたギターの燻煙木材加工は出来ません。
燻煙木材加工をすると木材収縮や木材含水率低下により必ず再ヘッド割れやヘッド欠け等が起きるリスクがとても高く当工房では燻煙木材加工は出来ませんのでご注意下さい。
当工房はギター製造会社です。
一般的なギター製品であれば購入後から数年または数か月後に不具合が発生するギターもありますので、新品のようなギターに戻すことは100%出来ません。
また当工房はリペア専門会社ではありませんので、万が一修理したギターが気にいらない場合や不具合が気になる場合はセカンドオピニオンしていただけたら幸いです。
保証期間について
リペアやカスタマイズしたギター製品は修理した日から2週間の保証期間があります。
ただしギター製造時と同じに近い状態のギターには出来ません。
なぜならギター製造時による木の状態や木の性質等や製造時の加工等により極微小な狂い等が必ず発生し完璧な状態ではなく、木の性質上における自然現象または経年変化が原因とするネック本体の反り、ネジレ、ネック波うち、ハイフレ浮き等あるいはトラスロッドで修正不可能な反り等や裂傷等から生じる損害(人身事故、災害事故等)、社会的な損害(金銭、時間等)に対しては、再修理は保証対象外です。
また修理中におけるやむ得ないキズや塗装面の割れや欠け等から生じる損害(人身事故、災害事故等)、社会的な損害(金銭、時間等)に対しては保証対象外です。
ギター返還後の保証について
他社製品または当工房で製作したギターの修理における如何なる場合においても当工房ではお客様の保管状況や演奏後の手入れ方法等は知りません。
また当工房で修理したギターは不具合が無い様に出荷前に何度もチェックしていますが、お客様が住んでいる場所によって環境が変化(湿度、温度等)することでギターのネックに影響を及ぼす事があります。そのためギター修理後による如何なる場合においてもギター演奏中の各種トラブルまたは故障等の損害(人身事故、災害事故等)及び社会的な損害(金銭、時間等)に対しては、保証対象外となります。
ギター修理におけるお客様からお預かりしたギター本体は善良なる保管者としてお預かりいたしますが、災害(地震、暴風雨等)、災害事故(火災、配送時での事故等)または第3者の手による刑事事件(盗難、器物破損等)によりギター本体及びギターケース(付属品も含む)が滅失及び破損等から生じる損害(人身事故、災害事故等)、社会的な損害(金銭、時間等)に対しては、保証対象外となります。
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